2009年8月14日金曜日

歩く・なら「伊勢本街道の難所越え・峠を越えて温泉にひたる」

歩く・なら伊勢本街道の難所越え・峠を越えて温泉にひたる」を歩いた。伊勢本街道の名を持つのはもちろん「お伊勢まいり」に使われたからであり、本コースでは奈良県宇陀市から曽爾村を経て御杖村までの全長約28Kmを踏破する。本コースの主題となっている難所越えとは、石割峠、山粕峠、鞍取峠、桜峠、牛峠、岩坂峠のことであり、舗装されていない旧街道そのままの山道を正に踏破する厳しいコースであった。


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本コースのスタートは近鉄榛原駅で、ゴールは敷津バス停(三重交通)である。敷津バス停(三重交通)は奈良県御杖村だが、三重交通バスで三重県の近鉄名張駅から帰ることになる。名張は大阪の通勤圏内で、地図をよく見ると曽爾村や御杖村の多くは近鉄名張駅より東にあるので、三重県だからといって驚くには値しない。近鉄名張駅行きの最終は17時なので、朝の始発に乗っても1日で踏破するのはまず無理だろう。

ウォーキングメモにも書かれている通り、御杖村で1泊するのが旅気分を味わえてベストなのだが、1泊するには予約が必要で、今回のように台風が来るとどうしようもなくなるし、やはり天気のいい日を選んで歩くにはコースを2分するしかない。ウォーキングメモではコースの中間点である山粕東口バス停(奈良交通)を推奨しているが、今回はバス代が安い山粕西口バス停(奈良交通)で2分した。1日目は中間点からバスで帰り2日目はそこまでバスで行くので、中間点をバスで往復することになるので馬鹿にならない。写真の通り雑貨屋があり店が休みでなければパンの他にもビール等のお酒も買えるので便利だ。

しかし近鉄榛原駅から出るバスは平日しか朝早い便がない。ゴールの敷津バス停(三重交通)の最終バスは17時なので、土日の便の10時55分発では5時間半程度しか歩く時間がないので、平日の7時55分発に乗るのが必須と考えた。しかし予定していた10日11日は台風9号の影響で断念すると、13日以降はお盆休みとなるため後半を12日に前半を14日の前後を逆にするしかなかった。またマップ通りに歩道が狭く交通量の多い五味原バス停(奈良交通)高井バス停(奈良交通)間をバスに乗る場合も平日の朝一番のバスに乗らないとスムーズに行けば問題ないが一歩間違えば帰りのバスがなくなってしまう。前半後半ともに最終バスに乗る予定を組まずにコースを間違えることを考慮して最終バスの1本前に乗れるように余裕のある計画を立てた方がいいだろう。目安としては前後半ともに6時間の道のりである。

前置きが長くなったが、まず近鉄に一番近い榛原商店街の道を行くと最初の見所である本居宣長公宿泊旧旅館あぶらやとその正面に札の辻がある。二つともコースを逸れて近鉄ガード下を潜った北側にある。迷った場合は商店街旧伊勢本街道街灯がある道が伊勢本街道になるのでこれを探せばいいし、次の見所の墨坂神社まで連れてってくれる。とても危険な旅なので墨坂神社には日頃のお願いに加えて旅の安全を祈ろう。

この後国道369号線沿いに進むのだが左手に川が流れて眺めもよいためか専用歩道の多くも左側にあるし歩道も左側の方が大きくとってあるのでずっと左側通行がいいだろう。また前置きに書いた五味原バス停(奈良交通)高井バス停(奈良交通)間はバスに乗らない方がいいだろう。時間調整が厳しいだけでなく、弘法大師の岩清水奈良県最古の道標熊野権現御井神社緯度経度海抜表示石碑初生寺と見所も多い。この辺りから伊勢本街道道標東海自然歩道ほど多くはないが要所要所に立てられており、道が東海自然歩道に比べてわかりやすいので、迷うことはほとんどなかった。

懸案の歩道が狭くなるのは、自明観光トイレからだが、写真をよく見ると「右 いせ本街道」の道標がある。この道はこちらの伊勢本街道道標まで369号線を山沿いに進むの道であり、こちらを通れば車の交通量は全く問題なくなる。マップがなぜこの道を載せなかったのか疑問に思うところだが、多分コース選定に歩いた際には草木が茫々で薦めることができなかったのではないだろうか。今回は非常に整備されており、地元のボランティアの方に感謝する次第だ。

この後すぐ369号線を左に入りしばらく歩けば高井バス停(奈良交通)となる。バスは一般車の邪魔になるので極力国道を走らないようだ。ここからコース前半の最終目的地の山粕西口バス停(奈良交通)までお店はもちろん飲料自動販売機すらないので要注意である。逆に山粕西口バス停(奈良交通)以降のコース後半は飲料自動販売機は豊富とまではいかないが持参しなくても大丈夫な程にはあった。

榛原古民家「松本家住宅」千本杉を過ぎてこの伊勢本街道道標から伊勢本街道諸木野関跡を通りこの伊勢本街道道標までが舗装されていないとても雰囲気のよい平坦な山道で、本コースのハイライトである。この伊勢本街道道標からは最初の難所である石割峠を越える山道で、峠手前では大きな岩の上を歩くのでこの名が付いたのだろう。山道は日が通らず元々水はけが悪くぬかるんでいる所が多い。それどころか道に水が流れている所もあるので本当に難所だ。

この伊勢本街道道標で山道は終わり舗装された道の人里に出るのだが、マップに紹介されている姫隠し岩がどこにあるか見つけられなかった。この辺りからGPS(au災害時ナビ)の調子がおかしい。山影にさえぎられるので今まで受信できていた衛星が捉えられなくなるので、新たな衛星を受信したいのだがこの場合は一旦au災害時ナビを終了(終了する前にあしあとデータを保存する)して、地図ビューアの簡易ハンディGPSで携帯基地局から衛星軌道情報をアシストしてもらった方がいいのだが、人が住んでいるのに圏外なのだ。何とか見晴らしのいい場所を見つけてことなきを得た。

しかしこの辺りは専明寺の境内を抜けた後の伊勢本街道道標まで道標がない、専明寺の境内に入るには右折が必要なのだが、右折する所にも道標がないので右手をよく見ながら歩かなくては通り過ぎてしまう。ここが本コースで唯一迷いそうな所だ。ほどなく県道28号に出た伊勢本街道道標の後28号と別れを告げる伊勢本街道道標辺りから完全にGPSが受信しなくなったのだが、南向きから北向き大きくカーブして山を一つかわした後は携帯が回復したので、簡易ハンディGPSでアシストすることにより好調になった。しかし人が住んでいるのにauが圏外になるとは恐ろしい所だ。

明円寺(見にくいが木々の向こう)を抜けて行悦の道標がある伊勢本街道道標から未舗装となるが、山粕峠も含めてこの道が一番ぬかるんでいた。本当にカスなのだろうか。この峠道沿いに小川があるのだが、道にも水が流れていた。道がぬかるんでさえいなければせせらぎに耳をかたむけながら歩けるのだが足元に気をとられるのでとてもとてもそんな余裕はない。佐田の宮跡を過ぎればすぐ国道369号線の伊勢本街道道標となるが伊勢本街道は国道369号線ではなく左側の道で、バスも伊勢本街道を行くのだがほどなく前半のゴールの山粕西口バス停(奈良交通)のある国道369号線に再び出る。

後半は問屋家屋屋敷跡碑から国道369号線をはずれるがすぐにまた国道369号線に戻り、山粕東口バス停(奈良交通)は国道369号線にある。その後も国道369号線をしばらく歩いた後、絆の里休憩所から難所越えのハイライトである鞍取峠の山道に入る。あまりの急勾配に鞍を取って馬を休ませた所から鞍取と名付けられたと想像したが、あまりの急勾配に馬の鞍が飛んでしまったのがなまったというのが正解のようだ。そんな逸話があったのだろうと容易に想像できるほどとにかく凄い急勾配である。少し回り道でも川沿いの道を行った方がかえって楽なのではないかと思うほどだ。

山道を下りた所に白鬚稲荷神社があった。この後山道は桜峠岩坂峠以外に山道はなく基本的には舗装された人里をいく。しかも川沿いの平坦な道が多いのと心地よい水音が絶えることがほとんどないので気持ちよく歩けると思う。一度国道369号線に出るが青蓮寺川の伊勢本街道道標からは田舎道に入り、春日神社白藤稲荷と抜けた後、桜峠の手前で一度国道369号線に出る。

桜峠はぬかるんだ山道と山道に入る手前の草に悩まされるだけですぐに御杖小学校に出る。御杖小学校は円形の画期的なデザインの建物で教室は扇形になっているのだろうか。御杖小学校の坂道を降りてからはしばらく国道369号線を行くのだが、2回ほど左手の田舎道に入った後御杖村の案内板がある伊勢本街道道標から牛峠までは田舎道である。この間に常夜燈案能寺みつえ体験交流館四社神社がある。

牛峠で国道369号線に出るが、峠の手前は山道ではなく長く坂道が続くが舗装されて道であり、峠の後もすぐ舗装された田舎下りの舗装された田舎道が続く。坂道を降り切ってしまえば岩坂峠までほとんど平坦な田舎道であり、その間には御杖神社常夜燈首切地蔵月見石倭姫の手洗井戸夫婦岩弘法の井戸丸山公園があったのだが、姫石明神がない。

マップには、丸山公園姫石明神の近くに食事処の記号もあったので、さぞかし姫石明神はお社かと思っていたのが間違っていた。思い込みとは本当に恐ろしい。岩坂峠には姫石明神が写っているのに気づかない。食事処の記号は丸山公園桜の季節に屋台が出ていただけなのだろう。山道を下って姫石神社山道まで降りてしまった。降りた所からすぐに三重県になるので奈良県の伊勢本街道を制覇するという意義はあった。姫石明神から伊勢本街道を少し戻るので、行けば行くほど帰り道が遠くなるわ大変な急坂なので帰りの登りがしんどいのであるが、時間があれば是非足をのばしてみたい。

この後伊勢本街道をこの道標まで戻った後伊勢本街道とは別れを告げて国道369号線と368号線の交差点にある、御杖・姫石の湯街道市場みつえのある道の駅「伊勢本街道 御杖」を目指す。コース名となっている「峠を越えて温泉にひたる」の温泉である。ゴールの敷津バス停(三重交通)はその交差点の北側の国道369号線にあった。しかしバス停が道の片側しかないのに面食らう。バスがどっちから来るのかわからずどっちの車線で待てばよいのかわからないのだ。仕方なくバス停のある車線側で待っていたのだが杞憂となった。バスは敷津バス停(三重交通)発であった。どっちからバスが来ようがバス停にいて運転手に合図を送れば停まってくれるだろうけど、国道369号線の五味原バス停(奈良交通)バス停でも片側にしかバス停がないのも驚きである。

幾つかの峠越えは山登りに匹敵するが、山道ばかりを行くのではなくほとんどが舗装された田舎道を行くので思ったよりは時間がかからなかった。僻地だからこそ足の便が不便であるが、それだからこそ田舎の自然を満喫できるし昔のお伊勢参りの旅気分が味わえる素晴らしいコースである。