草ボウボウで案内の文字が見えないが、ここは石のカラト古墳に隣接する「万葉の小径」である。
万葉に詠まれている植物を実際に植えてあり、そこに歌の解説をした陶版が設けられている。
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山
ぐらいしか知らないので、退屈ではあるが我慢して読めば万葉人の心に触れることができるすばらしい公園である。しかしご覧の通り陶板も草木に覆われているし、全ての植物にネームプレートを立ててあったと思うのだが、ネームプレートがなかったり、ひどい所はどう見てもネームプレートだけあって肝心の植物がなかったりする。
かなりの数の植物と歌が紹介されているし、また歌だけでなく万葉時代の歴史や人々の生活についても学べるようになっているのに、返す返すも植栽が荒れているのが残念である。あまり評判がよくないのか、「万葉の小径」で、グーグル検索して上位に出てくるホームページは他の場所の情報ばかりである。奈良県の公園なのか奈良市の公園なのかもちょっと調べただけではわからなかった。まさか昭和54年(1979年)のニュータウン建設当時に住宅開発業者が造成したのではないと思うが。また、東の石のカラト古墳はすぐわかるのだが、西の押熊瓦窯跡はどにあるのだろう。
女の子の名前のまゆみは真弓から来ているとは思っていたが、真弓はまゆみの木から作っていたとは驚いた。万葉の時代からまゆみは正統な由緒正しい女の子の名前なのだろう。
南淵の 細川山に 立つ檀 弓束纏くまで 人に知らえじ
純朴な万葉人の恋心が感じられ、万葉の小径で一番感動した。
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